聞くことで英語脳をつくる

2012年 7月 25日
作者: 代表 高山和子

日本では、最近になってやっと小学校にも英語が導入されたが、それまでの英語教育のもとでは、中学校で3年、高校で3年、また多くの人が大学でも教養科目として最低でも2年間、計8年間も英語を勉強しているのにも拘らず、英語のニュースを字幕なしで理解できたり、英字新聞をほとんど辞書なしで読めたり、相手の言っていることを理解し、それに対して自分の考えをはっきりと述べることのできる人がほとんどいない状態だ。これは英語の学習の仕方に問題があるのだと思う。 「読む、書く、話す、聞く」の4技能を踏まえた学習が大切であることは、言うまでもないが、この中の「聞く」ことは大変重要であるにも拘らず、あまり授業には組み入れられていないのが現状ではなかろうか 聞き取れないと話せないし、発音もリズムもいつまでも日本語訛りのままで、日本人の英語に慣れていないネイティブには理解できない英語となる。実際に使える英語の習得を目指すなら、毎日の学習に 英語の聞き取り練習を組み入れることで、聞く能力を発達させ、効果的な英語学習に努めることが必須である。

脳神経外科医師であり、医学英語の指導と医学会の同時通訳もされる植村先生は、英語と日本語は、脳の中にそれぞれの言語に対して独立した言語野をもっており、使えて役に立つ英語を習得するには、脳内のウェルニッケ感覚性言語野に英語野を独立させるしかないと話しておられる。 ではどのような学習が効果的なのか。単に聞き流すだけの受け身の学習では効果は期待できない。 毎日30分~1時間、積極的な態度で文章のリピートや、シャドイングを行う。 シャドイングは同時通訳者がよく利用する訓練法で、英語を聞き その後から影(シャドウ)のように口に出して真似をする学習法で、これにより、リズム、イントネーション、発音が身に付き、正しい文章の区切り方が分かる。 使用する教材はナチュラルなスピードなものを選び、テキストの内容が理解できたら、テキストなしで行う。 スムーズに口が動くようになるまで何回もこの練習を繰り返すことで 口の筋肉が鍛えられると共に その音は脳のなかにも記憶され、きれいな英語が身に付き、英語力も確実に伸びる。 シャドイングは、机に座らなくても、車の中でもできるので、忙しい学習者には最適だ。

聞くことで英語脳をつくる英語が氾濫している昨今、学習者がその気になれば、聞き取りに使う教材には事欠かない。 NHKは、レベルに合った英語のレッスンをテレビ、ラジオで提供してくれているし、テレビの衛星放送では、24時間英語が聞け、インターネットでは英語学習に役立つサイトが大量にあり、学習者にとっては嬉しい限りであろう。 私は、i-Pad やi-Phone を利用して、毎日 海外のドラマ、ラジオ番組、ニュース、オーディオブックや海外の有名大学の講義などを、運転や、食事や家事をしながら楽しく聞いている。 京都で、大学生だった時、生の英語に飢えていた私は、ラジオからかすかに流れてくる、アメリカ人兵士向けの短波放送のFar East Networkを、ラジオを耳にくっつけて一生懸命聞き、英語が話されている環境に自分を置きたい、海外で勉強したいとの夢を 毎日 膨らませていたものだ。 その当時と比べ、世界はデジタル化のお蔭でとても近いものとなり、学習者のハングリー精神さえあれば、日本に居ながらにして、生の英語がいつでも聞ける理想的な環境にある。 体力は年齢を重ねるにつれて衰えるが、ありがたいことに脳は使えば使うほど神経回路網が発達し物を覚え、使わないでいるとどんどん神経回路網が消滅してゆくそうだ。 「読む」ことの大切さはこれまで何度もお話ししたが、使える英語を目指すのであれば、毎日 英語を聞くことで脳を刺激し、脳の中に英語の回路を作る作業を組み入れることが必要である。 そうすることで英語のセンスが磨かれ、上手でナチュラルな英語が話せるようになる。

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代表 高山和子 について

岡山県 津山市出身。英語講師。米国ドレーク大学大学院修士課程修了。帰国後、英語教育に携わり、'90年津山市にライト外語スクールを開校、本物の実力を身につけさせる指導に定評がある。国際ロータリー財団奨学生、英検1級、TOEIC 990点、国連特A級。 フル・プロファイル